Pinrose ピンローズまとめ
(via. Fragrantica.com)
前回の記事の続きです。
まずPinroseというブランドの紹介を少しだけ。
(via. San Fransisco Chronicle)
ピンローズ(PINROSE)はサンフランシスコを拠点とするフレグランスブランドで、大学在学中に知り合ったErika ShumateとChristine Lubyが2014年に設立。
スタンフォード大学の心理学専攻だったErika Shumateは香りと心理の関係性について研究していたところビジネス専攻のChristine Lubyと出会い、どうすればフレグランス業界に新しい風を吹かせられるか、と考えたのがブランドの始まりだったと言う。
ウェブサイト上で自分のスタイルに合ったラインナップをパーソナライズしてくれるScent Quizを用いたマーケティングが話題となり現在は大手メイクアップ/フレグランス専門店のSephoraやデパートメントストアのNordstromでも取り扱いがある。Sephoraの自社メイクアップラインとのコラボレーションやSubscriptionサービスへの提供など、事業の拡大は順調そうだ。
ファッション業界のバックグラウンドがある訳で無い学生二人が立ち上げたブランドという夢のあるストーリー。キュートなパッケージングにTumblur/Pinterest世代には馴染深いイメージボード(イメージのコラージュ)をフィーチャーしておりとくに若い層をターゲットにしている印象。
またPinroseのフレグランスに対象のジェンダーは明記されていないがマスキュリンな香りはほとんど無く、女性向けフレグランスのブランドと言っても良いだろう。
そんなPinroseのミニロールオンタイプ・ ディスカバリーセットを持っているのだが、
よく見たらフルボトルを所持しているSecret Geniusががっつりカブっていた。
シークレットジーニアスはブランドで一番売れている香りらしいのでどれにでも入っているのは当たり前か。残りの二つを試そう。
Pinrose - Merry Maker
キーノート:ネクタリン、プラム、トンカビーン
オフィシャルサイトによると、このMerry Makerは
アロマテラピーで気分が下がりがちな妊婦のために考案された香りが元になっているらしい。
「ネクタリンのキーで歌うシトラスのソウルフルな香り
あなたもハッピーに踊り出してしまうでしょう!」とのこと。
ちなみにこの香りのイメージボードはこちら。
成る程シトラル・フルーティでアップリフティングなイメージという訳ね。
嗅いでみた感想…シトラス(グレープフルーツ?)+ムスク。以上。
ネクタリンもトンカもほぼ感じない。
かなり昔のシーブリーズで黄緑色のボトル、
ご存知の方いらっしゃるだろうか?
…それとおんなじ匂いなんだわコレ。
調べてみたら↑のシーブリーズ、
「シトラスムスクの香り」だった、ビンゴ。
本当にシーブリーズそのものだな。
心地いい香りではあるものの奥行きが無い。
イメージボードは香りと合っている。
運動部エースの快活な女子高生という感じか(完全にシーブリーズに引っ張られているだろ)
次、Wild Child。
Pinrose -Wild Child
「目覚めよ、心の中のトラブルメーカー。」だそうです。
イメージボードが見つからなかったのでPinterestのページからアイコンを。
こちらはピンク一色。
堂々としていて自分の魅力をさらけ出す事を恐れない
自由奔放な女性像が描かれているよう。
で、肝心の香りは…ガーデニア爆弾!
キーノートからも分かるように100%ホワイトフローラルアコード。
ガーデニア&プルメリアのむせかえるようなフローラル
ティエリーフラワーも入っている気が。
香りの変化はあまり感じられないシングルノート調
試した3種類の中ではこれが一番ロングラスティング。
まず自分がホワイトフローラル苦手なのが原因なんだろうけれど
「南国イメージのルームフレグランスをウッカリぶちまけました」
みたいな香りが肌で続いて結構苦しい。
逆にガーデニア好きにはたまらないのかもしれないね。
ただ上のイメージにあるようなどピンク、
Mean Girls三人衆ばりのファッションに身を包んだ人が
この香りを振り撒いて近づいてきたならば
おそらく私は逃げ出すだろう。
ピンクのギラギラにこの濃厚なホワイトフローラル、
その二つが組み合わされば
あざとささえも無いステレオタイプ化されたフェミニンの暴力だ…トゥーマッチ。
間違いなく相容れないタイプ(酷い)
しかしそんな事を思われても何処吹く風。
いつでも主役のワイルド・チャイルドは、
部屋の片隅でじっと佇んでいる脇役の意見なんかを聞く耳は持たないのだ。
…良かれ悪かれ、ここまでパーソナリティを想像させるってことはPinroseのセントパーソナライズ化も理にかなっている、という事で良いのかな?(笑)
まとめ。
香水のプロでもなんでもない素人がこんな事を言うのも失礼極まりない話ではあるが、正直なところフレグランス自体のクオリティがコンセプトの面白さや値段に追いついていないのでは?と思ってしまう。
50ml/1.7ozで$77というのは少々強気すぎる(自分の持っているフルボトルは30mlだが現在は製造されておらず、50mlもしくは8mlトラブルスプレーのみの販売となっている)これは同じくSephoraで取り扱いのある人気フレグランスハウスNEST New Yorkよりも高い価格設定だ。
チープとまでは言わないけれども、これならヴィクトリアシークレットなんかのフレグランス方が良い気がする。コンセプトやマーケティングが面白いだけにそう思ってしまうのかもしれないけれど、ラグジュアリーブランドを取り扱うセフォラがここまで強くプッシュする理由は正直見えない。
せっかく若い層に受けるブランドイメージなんだから、ラグジュアリーを謳わずに小容量低価格のプロダクトにしてセフォラよりもUltaやTargetあたりで販売した方がウケたのでは?と思う、とくにTargetなんか最近ビューティーラインすごく力入れているし。
ジョーマローン的シングルノートかつバイレード的シンプルデザインパッケージのインディーフレグランスが乱立している中これからPinroseがどうやって生き残っていくのかとても興味深い。
ニッチフレグランスの需要が高まる中こういうビギナーフレンドリーなハウス/ブランドはあまり無いのでPinroseさんには頑張って欲しいぞ。
ーおまけー
そうだ私も受けてみよう。
どれどれ…何タイプだろう
…ってWild Childか〜い!
(終)