香水瓶の底

細かいことは気にしない、香水ブログ

ロジャ パルファム エリクサー Roja Parfums - Elixier Pour Femme EDP

 

またサブスクの15ml。そしてまた粗い画像。

(帰国して既に二年が経ちましたが、アメリカで利用していたフレグランスサブスクリプションで手に入れた香水の紹介は、これと、あと一本で終わります。長かった。)

 

Roja Parfumはまだ日本では展開していませんね

自分が海外にいるうちにもっと深く掘り下げてみたかったハウスの一つです。

 

(via. theCEOmagazine.com)

「香りの仕立師」と呼ばれているイギリスのパフューマ―、Roja Doveのブランド。

フランス人初、どころか、ゲランの家系以外で初めてゲランの香りに携わるポジションを得たレジェンド

二十年程ゲランに勤めた後、2004年にRoja Dove Haute Perfumerieという、ラグジュアリー・パフュームショップを英Harrodsにてオープンします。そこで自身の香水も販売していましたが、Roja Parfumsブランドとしてオフィシャルにローンチしたのは2011年のようです。

Rojaのメインラインナップは最高級の香料を使用したパルファムで、50ml £395!! 円安な現在のレートだと、実に7万超え。それがデフォという訳なので、本当にラグジュアリー。

そんな中2019年に登場したのがこのElixier 「エッセンス」と

メンズの「コロン」シリーズ。

 

現在はこのエッセンス/コロンシリーズがEDP、通常ラインがP(パルファム)という分け方をされているようです。エッセンスシリーズは100ml £245, コロンが100ml £265なので、通常ラインよりずっと安価。

また、Rojaの香水はアメリカで入手困難だったのにも関わらず、このシリーズだけはNeiman Marcusが取り扱っていたり、月$15のサブスクに登場するくらいだったので、ラグジュアリー一遍だったRoja Parfumsが本格的に客層を広げようとしているように思えました。

あと、今回の記事を書くにあたって色々調べていた中で知ったのですが、去年あのAPEXともコラボしていたんですね......振れ幅が凄まじい。

 

 

Roja Parfums - Elixier Pour Femme EDP

リリース:2019年

調香師:Roja Dove

 

キーノート:ローズ、ラズベリー、ピーチ、バニラ

 

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結論から言うと、この香水は素晴らしい。

現代における「フェミニン」の権化的な香りだと思う(「女性」ではなく「女性性」)

よく「現代のChanel No.5は何か」的な議論が繰り広げられるが、もうコレでいいんじゃないかとさえ思う。もしくはキリアンのGGGB。もちろんNo.5のような革新的でアイコニックな香水かというと、決してそんなことはないのだが。とにかく、香りに関してだけ言うと、自分の思う新しいフェミニンの象徴なのだ。

 

最初から最後まで最高に心地よい。

トップ、果汁を絞ってきたのでは?と見紛う(嗅ぎ紛う?)程甘くジューシーなピーチとラズベリー。と、そこに合流するきらびやかなローズ。

 

ファーストインプレッションは間違いなくフルーティ・フローラルだが、根底にはかなりしっかりしたムスク、ウッディ、パウダリーな香調が組まれている、と思う。とにかく、柔らかい。「ああ、木っぽいな」「これはバイオレット的なパウダリーなのかな」と、何か突出したものを感じることは殆ど無いはず。

 

そしてドライダウンがうっとりとする優しさだ。

ラズベリーの甘さをしっかり残しつつ、毛布に包まれたような柔らかさがある。

 

フルーティ。でもしっかりと肌に残る。

甘いのにキンキンせずにやわらかい。よくある香りなのに、何だかわからないけどとんでもなく心地よい、そんな印象を与える香水。

Rojaご本人によるElixierの解説。

 

「皆驚くと思いますが、私はこの香りをオリエンタルにカテゴライズしています。何故なら、オリエンタル・フレグランスの柔らかさ、官能的な要素をすべて持ち合わせているから。ただし、その特有の重さは一切ありません。断固として、モダンで近代的な香りなのです。かつてのオリエンタル・パフュームのような重厚さを持たせたくなかったのです。なので、騙されないで。一見フラワーとフルーツにのように思えますが、最後にそのセンシュアルさが露わになるでしょう。これは魔法のエリクサー。すべての女性を__もし貴方がまだそうでないと言うのなら.......女神へと変身させるのです」とのこと。

 

確かに、バニラや樹脂のような濃厚な甘さもなければ、スパイシーでもない。この香りでオリエンタルと思う人はまず居ないはず。

ただ、シダーとオリスを同時に抽出した独特な香料を使うだとか、肌に残る温かさを重視するように作られている、という点でとても納得がいく。新解釈のオリエンタル。……それでも人に説明するときは、フルーティ・フローラルと伝えるけれども。

 

何だか大絶賛してしまったけれど、こんなの今まで嗅いだことのない!!となる香りでは決してない。奇跡の香りみたいのを想像して手に取ると肩透かしを食らうかも。ベリー+カシミアウッド+ムスク、のようなノートで似たような心地よさのフレグランスは他にも沢山ある。

ただ、「この類の香水の最高峰」ではある気がする。

誤解を恐れずに言うと、デパートのカウンターに並んでいる近頃の女性用の甘いフルーティフローラルな香水、クオリティを突き詰めたらコレになるんじゃない?という感じ。もちろんデザイナーフレグランスも好きだし使っているけれど、これ一本でもう他のは要らないなと思ってしまう。

 

元よりRoja Parfumsは濃厚でクラシックな香調の高級なパルファムを一流販売員のいる Haute Perfumerieで販売する、というものだから、既存のファンからしたら、老舗の一流スーツブランドが急にデパートに出店してしまったようなもので、かつてのRojaは何処へ......と嘆く人達がいるのも十分わかる。

このブランドがターゲットの裾野を広げてから初めて試した自分にとっては、このElixier EDPは純粋に凄いと思う。こうなると無性にパルファムも試してみたくなる。

 

まったくの偶然だが、ここまで書いてRoja Parfums Women EDPのラインナップがリニューアルされるという事態になった。

肝心の中身は、「リフォーミュレイトはされていない。香りも以前のままだ。ただ、比較的知名度の低いReckless, Danger, Scandalにはちょっとだけ魔法を足させてもらった。そして賦香率を5%程上げて、もっとインパクトを強くしているよ」とのこと。

(参照:ROJA Announces New, Brighter Bottles ~ Fragrance News

いや、それはもうしているのでは、リフォーミュレイト......とにかく、Elixierに関しては変わらないらしい。

 

リニューアルの理由は、今までのボトルがヘヴィーな雰囲気だったのでもっと手に取りやすいものにしたかった、と説明があるが、お値段据え置きで100ml→75mlにしれっと変わっているので、実質値上げということだな、これは。でも香料の価格高騰等を考えると、全然納得出来る。

このEDPラインだけでも、日本で取り扱う所が出来たら、かなり面白いんじゃないかと思うんだけれども。色んな人に試してもらって、感想を聞いてみたい。