香水瓶の底

細かいことは気にしない、香水ブログ

色のない世界



私事ですが、東京に引っ越しました。

 

このブログを開設したときはアメリカにおりまして。

その翌年に帰国し故郷で過ごしていました。

その間ブログやSNSの更新がまちまちで。その間どう過ごしていたかということを書いておきたいと、急に思い立ったのです。

 

 

単刀直入に言うと、約十年ぶりに戻った地元に馴染めなくなっていました。

自分が海外に出て、なんだか偉くなったとか、大きな人間になっただとか、そういうことではないんです。

むしろ地元で活躍するために勉強したいと十代で渡米したので、故郷に帰ることは一つの大きなゴールでもあったんです。まあ、そんなことはいいか。

 

全てがあまりに小さなコミュニティで起こっているが故に、どんな人付き合いをすべきか、どういう立場で動くべきか……そんな些細なことを考え過ぎるあまりに、どんどん周りに心を許せなくなっていって。自分と同じ方向を見ている仲間は居ないんじゃないかと、そんな風に思い始めてどんどん孤独になっていきました。

その中で、お付き合いしていた元恋人との関係も上手くいかず、仕事の業務内容も明らかに自分に合っておらず、仲が良い人に程元気にやってるところを見せたくて言い出せず。

そんな日々が続いて半年が過ぎたところで、自分に変化があったんです。

 

朝起きて身体が重いのなんの。

ギリギリにやっとの思いで布団から出て、仕事中はつらい空想ばかりして、昼休憩は休憩室で机に突っ伏して眠り、帰ったら夜は不安で寝付けないので、ロング缶の強いチューハイを2本飲んで気絶するように寝落ちして、次の朝前の夜の残りのお酒を一気に飲んでまた仕事に行く、みたいな。気が付いたら布団の周りにお酒の缶が溢れる中で過ごしていて。

今考えるとヤバいな…と思うのが、当時自分は切りっぱなしのボブだったんですけど、朝寝癖が付くのを、布団の上で飲みかけのペットボトルの水をつけて、そのまま着替えて家を出る…みたいなことをやってて。Instagramでコスメアカウントを5年以上やっていたのに信じられないですよね(笑)

 

服だとか、化粧とか、香水だとか、とにかく自分に気をつかうという事がまったく出来ずにいました。色とりどりの物は目が痛いし、一番影響したのは嗅覚かもしれない。特定の匂いに過敏になったり、逆に感じなくなったり。香水は、たまに無理に手に取っては気持ち悪くなったりしていましたね。

振り返ると、とっくに身体をおかしくしていたんだろうけど、その時は全然気づかなかったんです。不思議ですよね。こんなもんだろうと。鬱とか、精神が病んでいるっていうのは、もっと深く暗い闇の中に居るもんだと思っていたから。その時の自分は、光も見えなければ影も無い、灰色の、凹凸のない、平面な世界に居た気がします。

 

そんな日々が一年くらい続いて。ある日深夜にコンビニの列で立ち眩みを起こして倒れた時があったのですが、その時誰にも助けを求めることが出来なくって、公園のベンチで横になっていた時に「あれ…コレだめじゃない……?」とやっと気づいて、仕事も辞め、少し休んで、ふらりと旅行して。その時に東京で昔の友人に会ったりいろいろな出会いがあって、また元気を取り戻して、色々決めて引っ越して……今に至るわけです。

 

つまるところ、壮大な逃げだったわけですし、それで自分が嫌になることもあるのですが、これで良かったんだなと。だって今、とっても幸せだから。

自分を大事に、逃げていい、と、そういうことを沢山聞いてきたはずなのに、いざ自分がそういう状況になると分からないものですね。これを読んでくれている人で心当たりのある方は、ぜひ自分の心と身体の声に耳を傾けてみて欲しいと思います。

 

今は、仕事(楽しい!)終わりにゆっくりと、綺麗に光る目もとのラメと美しく香るトムフォードノワールを感じながらこの記事を書いています。

最後までお付き合いいただきまして、有難うございます。皆様が穏やかな日々を過ごせますように!