前回の記事の続き。
手持ちのトウキョウミルク・フレグランス残りの一本、Bittersweet(ビタースウィート)です。こちらはTokyomilk Darkラインから。
ダークラインのパッケージはマットな黒に白インクとよりシンプルでゴシックなデザイン。
Eau De Parfumコンセントレーションで容量は1.7oz/50m、通常ラインよりも濃くサイズも大きいです。
前回の記事でも言ったように既に廃盤です(本当に泣きたい)
Tokyo Milk Dark - Bittersweet
リリース:2011年
ノート:ダークカカオビーン、ケークフラワー、オスマンサス、ムスク
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今まで出会った中で一番好きなチョコレートフレグランスだ。
これは本当に素晴らしい。
キャップを外した時点で漂うチョコの香り。
期待を込めてスプレーすると
ビターなココアパウダーと
その苦いカカオの下に隠された
上品な甘さのガナッシュが一面に広がる。
おそらく周りが感じるのは
口の周りに残ったチョコレートドリンクのようなわずかな甘さ
でも、温かいホットチョコレートの正体は
一つひとつが宝石のような生チョコ。
リッチなココアパウダーとキンと甘いガナッシュ
それはつけた本人だけが味わえるビタースウィート。
ほろ苦さはそのままに、
ショコラの甘さがつながる先は、なんとキンモクセイ。
いつの間にか砂糖の甘さがオスマンサスの独特な少しフルーティな花の甘さに変わる。
ダークなカカオに煌めくキンモクセイがとても美しい
この2つ、一見食い合わせが悪そうに見えて
苦さと甘さとがうまく共鳴し合い
どこか洋酒のような深みを醸し出す。
不思議な組み合わせに酔いしれていると
粉っぽさが前面に出てきて肌を包む。
クレジットされているのは、お化粧の白粉でもなければアイリスでもない、Cake Flour - つまりは薄力粉だ。
そう、スイーツを愉しんでいるつもりで
お菓子の材料として混ぜられていたのは自分の方なのだ。
なんという『注文の多い料理店』
ひんやりとしたキンモクセイと小麦粉で夢見心地になった後の
ダメ押しのムスク。パウダーとムスクが肌に馴染んだら、おやすみなさい。
本当に眠くなる香り……
決して複雑な香りではないと思う。
けれどチョコレートの甘さがいつのまにかキンモクセイのフローラルな甘さに変わっていくところなんか本当に良く出来ている。
カカオ+キンモクセイ+ムスクとかなりエネルギッシュな方向性に行きそうな構成なのに、そこはTokyo Milk Dark, やっぱりどこか暗い。
忘れていた子供の頃の記憶のかけらが詰まっているような香り。(ちなみに本来の香りのコンセプトは調べても出て来なかった)
口にまとわりつくチョコレート菓子、街路樹の甘い花、パン生地の小麦粉、お昼寝していてかけられた柔らかいブランケット、もしくはお母さんの白粉のにおい。
それも、子ども時代にタイムスリップさせてくれる香りではなく、歳をとってから急にフラッシュバックする、鮮明なのに二度と帰ってこない甘い思い出の香り。ほろ苦い。
ちょっと飛躍した表現ではあるけれど、 個人的には「死」を連想させる香りのようでもあると思う。こんな香りにつつまれたら、甘い思い出に囲われてゆっくり眠れそうだ。
はたまた、お菓子の国で施される死化粧、という感じかな。うーん難しい。
死が云々は置いといて……この香水は実際に寝香水に最適だ。特に最後のパウダーとムスクがドリーミィ過ぎる。
これを買った日、試しに腕に1プッシュしてソファでだらだらしていたところ気がついたら4時間眠りこけていた、という事があった。どんなに寝付けない夜でもこれをつけるとマシになる。
そんな「マイベスト寝香水」が出会ったときには廃盤だったなんて、これからどうすればいいのか…(泣)
つい最近のTokyomilkのインスタグラムポストに"Will Bittersweet return?(ビタースウィートはまた販売される?)"というコメントがついており、
おお、タイムリー!と思っていたところ、公式から
"Keep an eye out, you never know when a favorite may come back from the archive!! (注意して見ていて、いつ過去作品が復刻されるか分からないからね!)"
という意味深なリプライがされていた。
いつかカムバックするのか……?うーむ期待させてくれるじゃないのMargotさん。
という訳で希望を捨てずにチビチビ使っています、Bittersweet。
今度はTokyomilk Lightラインから何か買ってみようかな。