香水瓶の底

細かいことは気にしない、香水ブログ

ファタール姉妹① Agent Provocateur - Fatal

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Affordable(プチプラ)な香水のお話。

 

普段目玉が飛び出すようなお値段のニッチフレグランスを追っていても、その脇でお手頃価格の香水もちまちまと買い集めている…(ほとんどの場合は衝動買い)

アパレルブランドの低価格なフレグランスだったり、セレブリティプロデュースの香水だったり様々だが、試香せずに買って失敗してもダメージが少ないのが良い。お値段相当かなと思うのが殆どでも、びっくりするくらい良いものがたまに紛れているし、ハイクオリティなものを見つけると何だか嬉しくなる。

 

そもそも高価格=高品質の方程式は必ずしも成立するわけではなく、とくに最近のニッチ/メゾンフレグランスのリリースは正直Over-pricedでは? と思うものも少なく無い。

ともかく、香水を好きになってまだまだ日の浅い身としてはプチプラで色々な香りを試せるというのはとても有難いことでして。

今回は手持ちの中でも最もプチプラ、かつハイクオリティな香水を二本立て(?)でご紹介。 Agent Provocateur(エージェントプロヴォケイター)からFatal(ファタル)シリーズ。

 

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(via. harpersbazaar.com)


Agent ProvocateurはUK発のラグジュアリー・ランジェリーブランド。

スタイリッシュかつセンシュアルなデザインと鮮烈なプロモーションで人気が高い…とはいえ、インポートランジェリーファン以外は女性でも名前すら聞いたことがないという方がほとんどではないだろうか?

下着のセットで一つで簡単に十万を超えてしまうラグジュアリーさの一方で、フレグランスは良心的な価格。

 

 

先程「安く購入した」と言ったが一体いくらで購入したかというと、

何とアウトレットストアで30mlボトル$9.99。100mlが$12.99だったので今思えばそちらを買っておけばよかったのだが、その時はここまで気に入るとは正直思っていなかった…

 

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Agent Provocateur - Fatal

リリース:2014年

調香師:Jean-Marc Chaillan

 

トップ:ピンクペッパー、ブラックカラント、マンゴー

ミドル:パチョリ、ガーデニア、オリスルート

ベース:ムスク、バニラオーキッド、チョコレート、ラブダナム

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一言で言うならば「フルーティ・パチョリの最適解」

フルーティフローラルをメインにパチョリがバックで香る甘めの香水は近年の女性用フレグランス(主にデザイナーブランド)の流行りで、似たり寄ったりなものが沢山市場に出回っているが、個人的にはこれがベスト。

 

トップ。一番強く感じるのはマンゴー

トロピカルとさえ感じられるほど、

ブラックカラントとマンゴーのフルーティーノートが弾けるように甘く香る。

重さは全く感じられないが決して安っぽさのないフルーティーさ。

女性の快活なキュートさを表しているようなみずみずしい香り。

 

ジューシーなフルーツはゆったりとフェードし、

その甘さはガーデニアとオーキッドのまろやかなフローラルに変化していく。

フルーティ→フローラルの変化は王道パターン

ここで香る比較的クセのない蘭がこのフレグランスのメインスターだ。

じんわりと滲んできたパチョリの深みも加わり、

可憐ながらもセクシーな"Femme Fatal"と言ったところか。

とことん、王道を突っ走る構成だと思う。

 

ドライダウン、ラストノートに移行

まだオーキッドが強く香る中、

どこからともなくスムースなビターチョコレートが現れる。

このチョコレートに甘さはほとんど感じず、

上質なココアのようななめらかさがパチョリと絡むのみ。

どこを取っても本当にトゲが無く、まろやかだ。

エンジェルのラストノートの心地いい場所だけをすくって上澄みにしたような、そんな香り。

その後は、肌に寄り添うムスクにパチョリとさらにラブダナムが混ざり合い

妙にスモーキーなラストを迎えるのだが、これは個人差があるかもしれない。(自分がこういう煙たさを拾いやすい肌質をしている自覚があるので)

体温が高めの方ならかなり印象的な、温かみのあるスキンセントに落ち着きそうだ。

 

 

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このフレグランスのフェイスを務めたのはペネロペ・クルスの妹であるモニカ・クルス

蠱惑的なキュートさと妖艶さを併せ持つ彼女はイメージにぴったり。

 

フレグランス自体は"fatal(魔性)"といえどもかなりデイリー使いしやすい印象。

ラヴィエベルとフラワーボム、そしてココマドモワゼルを足して3で割り、それぞれの個性をぐっと薄めたような香りと言えば良いだろうか。

没個性と言えばそれまでだがとにかくバランスが良い、使いやすいし、パフォーマンスもまずまずで6時間以上はしっかりと香ってくれる。何よりこのプライスでは文句なしのクオリティ。

 

そう、大前提として欧米ではかなり安く出回っているがためにオススメしているし、日本では手に入りにくいかもしれないのでもし割高になってしまうようなら先に挙げた3つのどれかを買う方が賢明だろう。フルーティパチョリを突き詰めたい方にはオススメ。

 

そしてこのFatalの姉的存在であるFatal Intenseは割高でも買う価値があるユニーク美女なので、そちらはまた次回ご紹介します…