香水瓶の底

細かいことは気にしない、香水ブログ

イブサンローラン ブラックオピウム - YSL Black Opium

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色々書きたいものが溜まってきている…しかしコレを先に書かないと前に進めない。

発売から6年が経過しすっかりお馴染みとなったイブサンローランのブラックオピウム。

実はこれが私のファーストフレグランス。

 

自分の中で「シグネチャーセント(自分の香り)」は二種類あって、

ひとつは「不動の一番。一番好きな香り。

これから一つの香水しか持てないとしたらこの香り」な真のシグネチャーと

もう一つが「日常的に使用する、今の自分をもっともよく表している香り。現在の自分にしっくりくる香り」という表のシグネチャー。

この表向きの香りは数年ごとに変わる。

勿香水好きとしてムードやオケージョン、シーズンによって違うものをつけるけれど、それを除いてデイリーに使う「この人はいつもこの香りだな」と表向きに思われたい香水、それが表のシグネチャーフレグランスだ。

 

何故「表向き」を強調するかというと…

自分の紛れもなく一番好きなのは真のシグネチャーだけれど、そちらはあまりに自分を表しすぎて(自己投影しすぎて?)裸で歩いているような気分になるので

心を許せる人の前、または自分らしくいたいと思う時にしかつけられないから。

見栄とも外面とも違うんだけど、表向きの方は自分がつくる自分らしさと言う感じ。

 

前置きが長くなった… とにかく、自分の初めての「表シグネチャー」がこのブラックオピウムシリーズで、4年程お世話になったのだ。

 

 

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手持ちのプラックオピウムシリーズ。真ん中がオリジナルのBlack Opium EDP, 左側がBlack Opium Nuit Blanche. 右側がBlack Opium EDT(旧)。

オリジナル以外の2つについては別記事で書きます。

 

 

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Yves Saint Laurent - Black Opium Eau De Parfum

リリース:2014年

調香師:Nathalie Lorson, Marie Salamagne, Oliver Crespe, Honorine Blanc

 

トップ:ピンクペッパー、オレンジブロッサム、洋梨

ミドル:コーヒー、ジャスミン、アーモンドビター、リコリス

ベース:パチュリ、シダー、カシミアウッド

 

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パワフルで中毒になるようなコーヒーとセンシュアルな透明感があるホワイトフラワーのコントラストが織りなすコーヒーフローラルの媚薬

(YSL オフィシャルサイトより) 

 

最初に突き抜けるのは甘い甘い洋梨の香り。とても甘いが決して安っぽい甘さでは無い。

すぐにオレンジブロッサム、ジャスミンのまろやかなホワイトフローラルが後を追いかける。

心地良い甘さだけれどフレッシュさよりも温かみのある印象を受けるのは、バックで静かに香るコーヒー、リコリスやアーモンドのせいか。

 

フルーティさが続いた後ゆっくりと甘さの質が変わっていく。

ミドルは季節によってウッディーさが出ることもあればフローラルのが強く出ることもある。(香水をまともにつけたことのなかった私はここのホワイトフローラルでうっとなってしまうこともたまにあった。今はただひたすらにまろやかな甘さだと思うのみ。)

 

ブラックオピウムの一番の売り(だと思われる)コーヒーノートだが正直私の鼻また肌の上ではまったく感じることができない。

コーヒー・ビバレッジの香りなのか、挽きたてのコーヒーか、はたまた焙煎前の青いコーヒー豆なのか。この香水の中にコーヒーを感じられる方がいたら是非教えて欲しい。 

ミドル〜ドライダウン以降でかすかに感じる香ばしさみたいなものはコーヒーというよりはリコリスやシダーが混ざり合ったものだと思う。

 

最後に肌に残るのはぬくもりのあるバニラとカシミアウッド。

トップのジューシーなフルーティさとはガラりと雰囲気の変わった、

肌に寄り添う、落ち着いていてかつどこかセクシーなスイートさ。

トップのフルーティな梨、ミドルのホワイトフローラル、リコリス

全ての質の違う甘さをバックグラウンドでバニラが一本に貫いて繋げているよう。

 

 強烈なスパイス・ボムの元祖オピウムとは似ても似つかない香りだし、2010年代に続々リリースされたスウィートフローラル/フルーティ系女性用デザイナーフレグランスの一つというのが一般的な認識かもしれないがその中でもクオリティは高い…のかな?と、思う…←主観&センチメンタルバリューMAX

 

この香水のキャッチフレーズ"Addictive(中毒性のある)"には同意。とくに表立ったユニークさがあるわけでないけれどバックのウォームな香調になんとなく安心感を覚えて何度もつけたくなる。

ほっとするけれど背中を押すように自信をブーストしてくれる…まさにコーヒーを飲んだ時のよう。

 

 

 

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Edie Campbellがフェースを務めたBlack Opiumのコマーシャルに心を鷲掴みにされた。

 

ざくざくのウルフカットにスモーキーアイ、

シンプルな黒いシャツにパンプス。

肩に力の入っていないクールなビジュアルが格好良い。

 


Black Opium - Yves Saint Laurent

 

何かに突き動かされるように夜の街を駆け抜ける。

とくべつ何か探していた訳じゃない。けど、いつも何かが物足りない。

興味が無いふりをしていても、心の中ではぐるぐると渦巻くものがある。

孤独が好きで、それでいて寂しがり。

誰よりも理解しているはずの自分自身がたまに他人くさい。

 


Yves Saint Laurent Black Opium | Ulta Beauty

 

"-My head is a jungle"

一見クールな彼女の頭の中にはきっと、

誰のものよりも暗くて甘ったるい迷いや不安が綿あめみたくこびりついているはずだ。

気だるげな表情の奥では、湧き上がってくる衝動を抑えているかもしれない。

そんな矛盾を抱えて夜に吸い込まれそうになっても揺るがない。

ぐらついても、自分の好きなものは確かだから。

お気に入りのデニム。黒いネイル。

もしくは一杯のブラックコーヒーがいつでも自分を引き戻してくれる。

自分を再確認したら、いつものジャケットを羽織ってまた夜の街に繰り出していく。

 

この香水から見える情景、人物像はそんな感じ。

 

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香水に年齢や性別は関係ない、という前提で

個人的にこの香りが似合いそうなのは背伸びした大学生か20代前半〜半ばの新社会人くらい。

なんとなくその年代の女性の「等身大」な感じがするんだよな。

 

広告もありがちな花!恋!王子様のプロポーズ!パーティで注目の的!豪華なジュエリー!ではないのが、綺麗だけれど戦い、迷い、揺れる若い女性のリアルなポートレートっぽい。

ヴィジュアル的には皆がみんなこんなマニッシュでクールな方向性目指しているわけではないだろうけれど(笑)

 

 

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香水の知識がゼロだった自分がMacy'sのカウンターで一通りデザイナーフレグランスの新作を嗅いで「あこれ甘くて良い〜ついでに広告のトレーラーのモデルさんみたいになりたい〜」とそれだけで買ったので当時はそんなに深いことは考えていませんでした(笑)

でも香水ってそういう直感だとか雰囲気/イメージも大事ですよね。その後香水が好きになって色々買ったけど4年間はコレが普段使いだったわけだし。(その後2年以上色々ジプシーしているけれどまだ新しい普段使いシグネチャーが無い)

 

長く書きましたが自分にとって思い出深い香水です。今でも落ち着きたい時によく使っています。今まで目に留めてなかったなという方がいたら是非嗅いでみて頂きたい。

可愛いらしい甘さの奥の奥に一本通った芯が見える香水です。

 

 

 

 

 

余談。

 


Perfume Black Opium Feminino Eau de Parfum

 

2代目ミューズはゾーイ・クラヴィッツ

彼女もとっても格好良いですね!すごくハマってると思う

 

 

 


ck one - 2014

ちなみにEdie Campbellはck oneのコマーシャルに出てたのがどハマりすぎてこっちの印象のが強い…笑